思い出深いご家庭(あの夏)

3年前の夏、時間つぶしによく利用していた新宿の喫茶店で、カウンターの中から声が聞こえました。

「あー!誰か俺のライフプラン立ててくれないかなー!」

冗談でもフィクションでもなく、本当の話です(笑)
僕も耳を疑いました。

…どうしよう…

…聞こえたからって「僕に任せてください!」とか言ってドン引きされたらお店に来づらくなるしな…

…でもライフコンサルタントをやってるのに困ってる人を見て見ぬふりもできないしな…

アイスコーヒーの氷はすっかり溶けて、グラスが汗だくになるまで迷いました。

そして、、、お会計のついでにおそるおそる声をかけてみました。

「あの、聞こえてしまったので もし力になれたらと思ってお話するのですが」と名刺を出して
「僕こういう仕事をしてまして。僕でもよろしければお話させていただけますが、、いかがでしょうか…?」

反応がこわい。
とか思う間もなく二つ返事が返ってきた。

「えー!ほんとですか!良いんですか!?ぜひお願いしますっ!」

後で解るのですが、きっと藁にもすがりたい、という状況だったんだと思います。

それから電話番号と電話をかけて良い時間帯をお聞きして、後日電話をして「とにかくご自宅にお伺いしてお話を聴かせていただきます」ということに。

ご訪問してお会いしたのは、
喫茶店の店員さんとお腹が大きくなった奥様。

ご主人はアルバイトの傍ら劇団員として活動していて、奥様も同様の暮らしをしていたけれど身重になり劇団の活動を止めてアルバイトも時間を減らして体調管理に努めていました。

…目の前に出産を控える喜びの一方で、世帯収入が減る不安と劇団の活動を諦めたくないけど怖い気持ち、そして格安の家賃で住めているアパートは赤ちゃんNGで出ていかなければならないという焦り…

ご夫婦ともに地方のご出身で頼れる家族や友人も見当たらず、どうしていいのか何が問題なのかさっぱりわからず、途方に暮れていたのでした。

(つづく)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)